テキスト2000
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さんざんじこ第三種郵便物認可桑原専底流いけばなテキスト叫号2000年2月1日発行(毎月1回1日発行)桑原尊厳流家元発行定価五OO円先代専渓の生花アマリリスが日本に渡来したのは天保時代(一八三O年l一八四四年)で、先代がこの生花をいけた年から丁度百年前のことである。原産地は南アメリカで十八世紀にヨーロッパに渡り、その後園芸栽培され、東南アジアを経て日本に輸入された。当時日本の園芸技術はかなり発達しており、金山慈姑、或はジヤガタラ水仙という名で栽培され、その子孫は四国や九州に残っているそうである。図鑑にはその頃渡来した二品種が出ている。現在のアマリリスほど大きくはないが、おそらくすぐにいけばな人達の目にとまり、生態を観察してこの花のいけ方を考え出したに相違ないと田ザつ。本来晩春から初夏にかけて咲く花だが年末から春先にかけて、花色のオレンジ色がかった品種がいけばな用としてを亙に出荷される。先代がいけたこのアマリリスの花の色を見ると、稽古花として花屋で売られている品種ではなさそうである。昭和初期には少なかった大輪で鮮紅色の上等なものらしい。いい花があると出費をま惜なしざまず由買い求め、それを真剣な眼差しで見つめ、丁寧にいけていた三十代の父の姿が思い浮かんでくる。「桑原専慶流挿花図鑑」よりあまりす公的安持ゆる

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