テキスト2000
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テキスト仰号日発行(毎月1回1日発行)桑原専闘底流家元発行定価五円喜びと悲しみ共戚r」八月にいけて九月号の盛花に使った鉢植えのコレウスが初冬になってもまだ生き生きと葉をひろげている。毎日素子が水をやり、汚れた葉を摘みとっていたので、いつ見ても締贋だったが、いつの間にか寒さで弱りはじめる季節になってきた。私が叩頁のストレリツイアとキング・プロテアをいけていると「もうそろそろ萎れる季節になったから切ってきたの。何かコレウスの喜びそうな花を考えてやらないと」、と云って朱色と黄色のガーベラを買ってきていけはじめた。いけられた花には、いけた人の心に求めている生活環境、或は雰囲気と云ったものが、かなり色濃く穆みでてくることがある。この盛花にも、それまでに素子の心と体で受けとってきた喜びと悲しみ、怒りと笑い、快さと心地悪さ、反感、そのほか色々なものが撚り合わせられて一つの人柄が織り上げられる。この盛花は皆さんへの参考にと思っていけた素子にとってはごく普通のいけばなかもしれない。だがその中には一日、一日の暮らし方や感情の行方が見‘えてくる私の好きないけばなの一つである。花材ガーベラコレウス花器長方形褐色紬花鉢

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