テキスト2000
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しゅろひな松笠拾い〈表紙の花ぬいぐるみの柿〈2頁の花V孫達と御所に散歩に行くと、きまってホッホちゃん(祖母素子)に松笠を拾って渡す。幼い好意である。そしてそんなことから人と物を分かち合うことを覚えていくのだろう。律気な素子はその好奇事』「花」としていけたいらしい。だが感傷に溺れているだけではいけばなにならない。松笠のこぼれ落ちていた温かい土の色のようなセーター、その上に紅葉した丸葉の木をひろげると一緒に歩いた秋が心にしみこむ。花材丸葉の木松笠花器鉄製蝋燭立て敷物毛糸セーター青柿と椋欄縄にぶら下がった縫いぐるみの吊し柿。吊し柿は木綿の緋かすやり縞しま目の端切れで作られているので都びた感じがする。そして枝に実った青柿といけ合わせてみると、京都でも北山の山あいの藁屋根の農李乞想いおこさせるような投入になった。花器は幅はあっても厚みのない扇壷なので、左斜前に振り出した柿の枝に対して十籍後向きの枝で重量のバランスをとっている。縫いぐるみの吊し柿花器青緑色紬一墨軍花材青柿白菊はぎV2

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