テキスト2000
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やまごほう童話の絵のような実〈4頁の花〉のころになってやっと苦惑の存在に気がつく。切りとれる長さは六十今くらいで太さは七j八ミリ。細い刺が枝一面に生えているので扱いにくい花材である。九十句ほどの長さの枝十本の中から葉色のょいところを選ぶ。花器として無色で透明なカットグラスを選んだが、花器の中に挿しこまれた枝が見えないよ、ユ浅くいけている。従って花型も横拡がりになる。には高さ一・五灯になると書かれとり合わせは白い小輪の糸菊を使って、苦惑の赤い実と葉とを際立たせる。他の色、例えば黄や紫の花を挿し加えると量白しい配色になって冷たいこのガラス器を選んだ理由がなくなってしまう。花材苦毒花器アメリカ山牛募の実は童話の絵本に出てきそ、つな感じがする。金別どおり、アメリカから明治初期に渡来した植物で、いつの間にか帰化して空き地や道端に沢山生えている。山牛努は山牛募科・山牛芽属の多年草で、日本の山牛募もアメリカ山牛募も葉を食べたり、根も薬草となるので昔は栽培されていた植物である。だが日本の山牛募は薬用にも食白小輪糸菊カットグラス用にも忘れ去られた植物だが、繁殖力の強いアメリカ山牛募は八月に入ると、うっすら赤く色付いた実、濃さを増していく赤い茎、そして葉色も水々しくて感じがいい。此頃野山で野生している草花を切花として売られている。アメリカ山牛募も大きい花屋では八月頃実の色の浅い時期から葉が紅葉して実が黒くなるまで少しづっ並んでいる。草花としては大型種で、植物図鑑ているが、条件の良い庭ではこれ近く育って茎も太くて木のように見える。その枝先から沢山の実の房が下がっている姿をいけばなにしようとすると花型は大きくなる。作例の投入も左右の幅は約一幻あり、高さは七十五勺ほどの大きさにいけ上がっている。或は秋も深まって実が黒く、葉も紅葉する頃になれば、=房か二房の実を主材にした小品花もいいものである。そしていずれの場合でも、実の色、葉の色、茎の色を上品に引き立てられるような色の花をとり合わせていけたい。秋は次々と花材が変っていく。そしていけばなにとって最も楽しい季節でもある。いい秋を過ごしたい。花材アメリカ山牛芽白菊花器青磁花瓶4

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