テキスト1998
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〈表紙の旅Nやわらかな空の色に空の色がやわらんできたようである。だが庭におりて椿の咲き具合を見ていると、時折り日が懸って寒い風が脇を通り過ぎる。三月はも、立容の筈だが、まだ冬の感触は消え去っていない。いけばなの暦の方は、花をいけると、その後、うな日があっても冬の花には逆戻りしない。アネモネも早くから出ているが、いけてみて、いちばんふさわしい月は三月なのかもしれない。ピンク、白っぽい淡紫、淡紫、紫と揃えてみても、援のある薄い花弁はチューリップより頼りなげな感触で、まだ真盛りの審の花とは云いきれないような気がする。だがやはり暖かみのある花器にいけて三月の色合いを出してみたいと黄色のマット利の花器をとり合わせてレlス・フラワーを春の簿雲か、窓にかかるレlスのカーテンのようにアネモネにかけてみた。レース・フラワーは芹科の植物なので人参や問香の花とよく似ている。色が変化しているので、この花には花材として売り始められた頃は茎が短かく花柄も弱い花だったが、最近少し良くなってきたようである。花材アネモネ花器ひどV〈あわ三日に桃の雪の降るよレース・フラワー黄色マット紬花瓶2頁の花〉器器お・品、〈粟粟しとホピ書いlて「けし」と訓じているが、くらん器で口といのう小のさはい、瓶かめ胴のけがこ大ときでく、ふ器薬の笑が丁度そんな形をしている。そして、その中にはちいさな粟のような器粟粒が入っているので響粟と表現されるようになった。漢字では「芥子」と持くこともあるが、これは「からし」とも読むので私は器薬と書いている。響粟にはその実から阿あへ片Aのとれる種類ととれない種類がある。いけばなに使われているのは阿片のとれない品種で、アイスランド・ポピーがいちばん多く出まわっている。他にアイスランド・ポピーより少し花が大きく花蕊の黒い鬼器粟、そして幻の花といわれる「ヒマラヤの青い器粟」が先年の「花博」の時に円本にその姿が紺介されたが、この器粟も遠からず岡芸栽培されて花屋に並ぶようになるかもしれない。作例にはアイスランド・ポピlを使ったが、朱色から黄、白と優しく他に葉物花材をそ、えるだけで明かるい春らしいいけばなになる。花材アイスランド・ポピlモンステラドラセナ・コンシンナ花器かいらぎ柚水盤な雛ひ器粟等がある。2

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