テキスト1998
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ひ陽だまり冬枯れ、といってもそれは私にとって遠い野山のことか、烏丸通の枝を払われた街路樹でしかなくなってしまっている。暖かい部屋の巾に、シクラメンの鉢が飾られ、チューリップの花がいけられていると、時折聞こえる夙の音や、窓の外を通り過ぎる氷のように冷たい時雨さえ苦になる風物ではなく、季の彩りと映る。私達の冬の暮らしに溶けこんだシクラメンは、シリアからギリシア原産のシクラメン・ペルシクムから作られたもので、旋回するペルシアの花という脅保である。シクラメンは私達の冬の暮らしを暖かく彩ってくれる優しい花だが、原産地の地中海地方では治芹の森林斜面や岩の裂け目のような酷しい自然の中で芽生え育って行く。私の持っている植物図鑑には三月にイスラエルのテルアピブ北部の荒地で持の裂日に咲いたシクラメン・ペルシクムのが出ている。イスラエルでは三月に他にどんな花が咲くのだろう。作例の梅の代りに脊か李の花が咲いているのかもしれない。遠く離れた国の自然を想像しながらいけた盛花である。花材赤花シクラメン白梅フィロデンドロン・セロlム花器ペルシャブルl花器gt具5

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