テキスト1998
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はす第三種郵便物認可桑原市守慶流いけばなテキスト山号1998年1月1H発行(毎月1回1日発行)桑原市守慶流家元発行定価五OO円水仙「午前八時に六角の桑原宅を出発した。私と隆吉(仙渓)、素子、竹中、藤林、今井の熱心な同行者、それに三才の女児「はな」がいっしょに乗っかって総勢七人である。二台の車が海風に白く吹き荒れた板壁の家の並んでいる泊符、下岬村に着いたのは午後一時頃だった」これは先代専渓が、お年前私達をはじめて越前岬の水仙郷に連れて行ってくれた時の本紙の一節である。三才の女児「はな」が丘の斜面で素子と一緒に切りとった水仙の香を嘆いでいる窓呉も出ている。水世乞いけていると、その時の品耳打先エと鉛色の日本海、強い風を想いおこしてしまう。そしてその時水仙の自然が心の中に灼きついて私にとって特別な花としていけ続けている。冬の水仙と共に蓮も先代が私の目を聞かせてくれた花である。テキストにも水仙と蓮のことは色々な想い出と共に、そんな気持のこもったいけ方をよく書いている。この冬も越前岬の水仙を飽きずにいけ続けているが、そんな想いをたどってみると、いつまでも大切に扱いたい花である。花材水仙千両青緑色柏水盤日陰蔓花器

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