テキスト1998
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ステップかれあじさいになったのは一九九O年に大阪での「花の万博」が聞かれる少し以前からではなかったかと回心う。出生地はオーストラリア西南部の西オーストラリア州が主生育地である。私の植物図鑑には、大部分が砂漠のこの州の乾燥した草原赤いカンガルー−ポlの野生している写真が出ている。オーストラリアには特殊な進化をとげた動植物が多いことは知られているが、切花でしかあまりお目にかかることのないカンガルー−ポlの大群落は一度見て見たいものである。だが首都キャンベラから5000Mも西の端まで行ける機会は作り出せそうにもない。ただ写真でどんな所で生育しているのか、又西オーストラリア州の州花になっているというからには州民に愛され誇りにされている花なのだろう。私達には奇妙な花でも、西オーストラリア州では身近で普通の美しい南半球の春の花なのである。長々とカンガルー・ポlのことを書いてしまったが、知ってみると、この花の扱いも少し変ってくるのではないかと回ザつ。そして南半球のオーストラリアの春の暮らし、東南アジアで生まれたデンファレ。様々な想いをはせ、りかけながら今日の花をいけたい。花材カンガルー・ポlルl・ポiが一般の目にふれるよう一面にデンファレ花器黄褐色紬花瓶跳めのいい花〈叩頁の花〉この花は眺めのいい花だった。のびのびしていて明かるい配色で花器とのとり合わせもよく、チョン・マットの色面が軽い大きな枯紫陽花のかたまりを危なげなく浮かび上がらせているように見える。私はこんな花が好きである。別に珍しい花材を使っているわけでもない。殊更変った構成を求めた投入でもない。眺めていると、ただ何となく気分が明かるくなって心のひろが灼手』感じるのである。私は主として手のこんだ立花や生花をレパートリーとしているので一見無造作に見えるこんな花に惹かれるのかもしれない。だがよく見ると、蓄積の葉も一枚一枚丁寧に捌かれているし中央左寄りの花のついていない枯枝の位置も動かしようなく決まっている。理屈按きで眺めのいい花である。花材蕃薮二色枯紫陽花花器ヘレンド花瓶明かるくいこう〈日頁の花〉9頁、叩頁、そして日頁と続く三作には、いけばなの評言としては不適当かもしれないが、「明かるくいこう」というような感じが共通して黒いラン語10

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