テキスト1998
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寿松ことぶき松この盛花に使った松を、花屋では寿松とよんでいる。日本の在来種の松ではなさそうで、北欧に行くと、これと似たような松が沢山生えている。多分同一種だろうと思う。松科は裸子植物(檎科・杉科・棋科・その他)の中では最も種類が多く、十一属・二百二十種がユーラシア大陸と北アメリカの全域。更に南下して東南アジアの島々、マレl半島を経てスマトラ、ジャワ、ボルネオまで分布している。松は不老長寿の象徴とされているが、実際に世界で最長寿の植物は、アメリカ・カリフォルニア州東部のホワイト山脈の標高三千メートルあたりでゆっくり成長し続けてきた産五葉松である。樹齢問千六百年以上と年輪で実測されている。あたりは石ころに覆われた乾燥地で樹幹の大部分は枯死しているが、樹皮の一部が生きていて毎年少しづっ大きくなって行くのだそうである。話が作例から外れてしまったが、寿松の濃い緑と、梅擬の深い紅の実の色との配色は秋の終りを感じさせる。その感触を枯れ松の帯枝でより強めた中作盛花である。梅擬枯松のま什枝花器白色柚水盤花材寿松−q酌d,‘4

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