テキスト1998
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−l 酸すた橘ち〈花として栽培され、「亦まんま」として売られている。花材としては花が美しくてかわいいので様々なとり合わせや花型が考えられるが、作例では、道端の杢き地に狗尾草なんかと一緒に咲いているままの姿を思い浮かべ乍ら切りとってきた花を手備で水を揚げさせているような風情にいけてみた。花材赤まんま(大毛琴)花出桧j均えの手ニ35eh納1←ぐさ2頁の花V昔、奥の聞に恨来塗の丸い大きい食車があった。そこに志野焼の火鉢がはめこまれていて、十月になると炭をいれた。そこで、まず始まるのが焼松茸だった。焼松茸になくてはならないのが酸橘である。柚子のように呑がきつくないので松茸の味が刊の中で酸味と一緒に程良くまじり合う。こんな話は作例の酸橘とは関係ないかもしれない。だが昔酸橘は健在化が終って栗の出始める頃にならないと錦(市場)には出てこない武重なものだった。もう凹卜年も庁のことだが、そんな夜の感燭を蘇らせることができる。庭の木瓜が二、三輪咲き、裏庭の竹薮に烏瓜がと、その頃の季節感もまだ心の中に生きている。花をいけるということは、生きて市f3

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