テキスト1998
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ひえFぴとうもろニしもろこししらかばく川,も的薄に濁黍罰黍稲科の植物の大きい方では竹。一番小さいのは芝。その間に麦や米、粟、稗、黍、玉萄泰があって、これは、人類の主食で栽培植物。主食にならないが何かと役に立っていてくれる稲科の植物の多くは野生植物である。日本中どこにでも野生している稲科植物の代表は薄だろう。秋風や、澄み渡った空の白いちぎれ雲と薄。月が舛ると薄の穂波は銀色に輝きはじめる。そんな薄の姿に惹かれはじめたのは奈良時代になってからのことだろうか。その頃の奈良の都に住む人々は現代では思いも及ばぬほど四季の野山に密着して暮らしていたのだろう。家のすぐ外に咲く萩や薄に囲まれながら秋の日を送っていれば自然と薄の風情に心を惹かれ、それに美しさを感じるようになって行ったのだろう。野育ちの薄と、栽培植物といっても下位の雪黍をいけ合わせてみると、同じ茶系統の穂の濃淡の色調は、正しく秋である。ピンクの菊をそえて、その色を引き立て、白樺の素朴なボウルにいけて、今年の秋を迎えてみよう。花材薄淡紅色菊花器白樺引物ボウル11

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