テキスト1998
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はなくさ主ぴスモークグ花草黍の和名を持つスモークグラスは、北米原産の稲科の一年草。濃い色を背景にして光があたると、煙が静止したよ、つな不思議な雰囲気がただよう。スモークグラスの呼び名は日本での流通名で、英名はウイツチグラス(魔女の草)。確かに魔法使いがまたがる魔法の帯のようでもあるし、人の心をかどわかす妙薬を、何やら呪文を唱えながら調合している時に立ち昇る怪しい煙のようにも見えてくる。そんなふうに見えるのも背景と光の条件によるもので、うしろが明るいとたちまち頼りなげな優しい草に戻ってしまう。夜明け前、空がうっすらと白んで来る頃、あるいは満月の夜、庭に降りて見る草や木の昼間とは違って見えるあの感僻見。普段は見せない秘密の姿を偶然の条件の下で見てしまったような、神秘的な美しさに出会えた時のあの喜び。いけである花が、窓からの光の加減や電気スタンドのほのかな光に浮かぶ姿に見とれてしまうことがおありだと四十つ。これからの秋の夜長には、昼間と也事ユ化の表情を色々と工夫して楽しんでみたい。花材スモークグラス鶏頭二色花器横縞文陶コンポートラス和則10

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