テキスト1997
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品位〈表紙の花〉花村社松花器淡紅色粕花瓶見る人が自然に尊敬したくなるような気高さ、おごそかさ、それが品位の意味である。(広辞苑)少し窮屈な解釈だが間違いではなさそうである。だが尊敬、気高さ、艇かさの下に何かもう一つ形容詞がつけ加わってもよいのではないだろうか。例えば宇治の平等院の本尊の光背に舞っている天女。天女であるかぎり気高い品位はあるが、それより先に伝わってくるのは催美さ、あでやかきであって尊敬と厳かさは、この天女像から、つける感じ全体の日%か8%ぐらいではないのだろうか。あとのω%はもっと親しみを感じさせる美的な要素である。表紙の投入にもし品位があるとすれば、それは厳かさに通じる自然のきびしさではなく、きびしい自然の中に必ずひそんでいる優しきであり温かみがそれ多』感じさせているのである。そして、そのような品位は作ろうとして作れるものではなく、自然に出来てしまうものなのである。そういう自然は自分自身の心の中に育て上げて行かなくてはならないものでもある。計算と技術はおろそかにできないが、心の中に温かさと、それシンビジューム3

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