テキスト1997
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菌香アイリス花型菌香も時々生花の稽古に使っている。原産地は地中海沿岸の多年草で古くから薬草や食用香料として栽培されていた。日本には中国を経由して平安時代には渡来していて「ル和か和毛」とよばれ、江戸時代には薬草として広く利用され各地で栽培されていた。現在でも漢方の胃花器ト行型二種挿ルコブルl花鉢腸薬には配合されている。生花の花材としては適当な曲がりもあって一本の茎に四、五本の側枝がついているので枝振りをよく考えて組み合わせれば様々な花型にいけることができる。商香には細い糸のような葉がついているが、切花として売られているものは全部取り去られている。一種いけには向かない花材なので留には季節の草花をとり合わせる。京野菜|京の花戦時中から戦後にかけて、だんだんと生産量が減っていった京野菜は日本の経済も上向になって、生産性、合理化という言葉が農業経営に彩響するようになってから益々心細くなってしまった。ところが、ここ卜年位前から京料理が婦人雑誌に注目されるよ、つになってから、その大切さが思い出されて栽培が復活されるようになってきたようである。京野菜を考えた場合、私達いけばなに携わるものは自然に「京の花」には一体どんなものがあったかということに思いが及ぶ。「京の花」といえば怖や校本桜の他に沢山の花が怨い浮かぶが、ここでは角度を変えて与えてみたい。日本いけばな婁術協会は全国各地でいけばな展を開催しているが、行く先々で「京都の人は良い花村を持って来ますね」と云われる。確かに私も良い花村を持って各地にいけに行っている。これが必ずしも京都産の花ではないのである。全国各地から集められた「京都好み」の花村なのである。いけばなは京都で生まれたが、同時に園芸も発達しはじめ、江戸時代には花屋も商売として成り立つようになった。そして花屋としての職業観に徹した花屋も現われるよ、フになって訟でいけばなという文化を支え6

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