テキスト1997
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雪柳紅葉社鴎|ほととざす|花型株分け二種挿花器淡緑色柏水盤紅葉した雪柳をいける度に、その美しさを説明したくなる。美しい紅葉は他にいくらでもある。だが雪柳の紅葉にとくに惹かれるのは、良い背封の中で始めてその色と姿に気付いたときのことからである。冷たい時雨が通り過ぎた北山の麗で兵赤な葉の聞に小さな白い花がぽつんと一輪咲いていることがある。気がつかなければそれまでのことだが強く心を惹きつけられてしまった。その後紅葉の雪柳を凡ると必ず白い小花を探すようになった。とり合わせた杜臨は庭で毎年咲いてくれている。十月初旬に咲き始め十二月に入ってもまだ花の残っている年もある。最初は葉も厚\茎も固くて太い嫌な杜臨時だったが二十年のうちにしなやかな姿に変身した。11

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