テキスト1997
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もくれんこらよ今ιんぼたん辛夷〈こぶし〉ここには白の胡蝶蘭のリップの色違いを二種、梅擬の赤を燃え立つような色に見せたいのでとりあわせてみた。他に白の大輪菊もいいだろう。菊の品評会に出てくるような厚咲種を右側の胡蝶蘭のようにかためていければ蘭をとり合わせたのにも負けない豪華な盛花になる、だろう。花材梅擬胡蝶蘭二種渦墾文様鉄能花器辛夷には拳と云、ユ子も使われているが、実は拳の方が正しい用字なのである。唐詩にも幸夷が山川てくるが、これは木蓮のことで日本や韓国に自生している「こぶし」は中国には分布していない。植物の分類、せもまだ発達していなかった上に中国への渡航も難かしかった時代の誤まりだったのは致し方なかったとしても、薬草として長い間誤用されてきたものもあるらしい。いけばなには早春の花の季節によく使われるが秋に実をつけた拳は文人調の投入としてたまに使われている。とり合わせた牡丹とは相性がいいようだが円椿ともよく合う。よく実のついた枝を自然な姿に使いたい。花材辛夷(拳)牡丹花器紅褐色粕花瓶3

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