テキスト1997
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をみなえし白小菊花型行型二種挿花器灰白色粕陶鉢万葉集にはをみな、えしがよく詠みこまれているが、その頃の奈良の都の周辺の野山に沢山咲いていたのだろ、っ。私の使っている植物図鑑に、八月下旬に群馬県の榛名山で撮られたをみなえしの写真が出ている。日当たりの良さそうな草地で他の野草の間からをみなえしがすっと立ち上がっている。そしてその周囲に結梗と松虫草が咲いている。大昔にはこんな風景がごく当り前のものだったのだろうが周囲に山里の多い京都でも中々見られなくなってしまった。切手として栽培されたをみな、えしと違って野生のをみなえしは花柄が少ないので花も小さく清楚な姿である。野のをみなえしの風情に近付けるためには花を少し整理して減らさなければならない。作例では上から四段目の長くのびた側枝の上を切りとって副の枝を作っている。7

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