テキスト1996
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を選び、そのいけばなの持っている感じをより適確に作例として伝えようとしている。だが作例のような花をいけても、それを飾る私達の周囲の空間は写真に使っているような色彩ではない。和室なら壁は束楽壁の黄土色か、他の色でもくすんだ中間色である。洋聞の場合は白壁か淡く白っぽいグレイ系のクロス張りの部屋が多い。作例の写真では使った花の配色を強〈印象付けるような色を背景に使っているが、この花が先にのべたような空間におかれた場合の色彩や形の構成を想像してほしい。そこで置かれた場合、異質な空間の中では写真のような優しい感じの盛花ではなく、丹頂の茎も固い針金のよ、つな強きが感じられるよ、フになり、天井のライトによってアンスリユ|ムの広い仏炎琶も鋭い色感に変化する。作例写真の花の配色は、背景の色によって強調されている。それを基にして実際に飾られる場所によって変化する色彩構成や適応する花型を計算することが高次元ないけばなの稽古なのである。花材クレマチス花器ステンレス一輪挿食卓に濃い紫のクレマチスが粋な花の小さなアクセサリー〈2頁の小品花〉3

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