テキスト1996
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あしさ庭の花花材皐月紫陽花オクロレウカの葉花器監色練込水盤今年も涼しさ、爽やかさを求める李節になった。同じ藍色の練込手の水盤を使った盛花だが、素子はこの水盤が余松気に入っているのだろう。四月の初旬には冷え冷えした日が続いていたが、中旬には急に気温が上がり、それから又下がって、というような変な気候の春だった。庭の花も椿が五月の初旬になってもまだ新しい花が聞いていたが、阜月の方も椿に準じて咲き始める日がかなり遅れたよ、つである。皐月が咲きはじめると毎年少しおくれて紫陽花も咲いてくるのだが、紫陽花は近頃枝を刈りこみ過ぎたので花が少なくなっている。今私の家の庭には、花のあまり咲かなくなった紫陽花の他に柏葉紫陽花、額紫陽花の他にもう一種名前のわからない紫陽花も植わっている。皆さんもそうだろうが、庭に咲いた花は、よほどのことがない限り、中々切って使えないものである。私達も同様で、目にした庭の季節を買ってきた切花で再現している。オクロレウカの葉をそえて床の間に飾ってみると、町中の家の中にも京を囲む山の香が深いはじめる。10

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