テキスト1996
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花器・食器・酒器・銅器水をたたえることができさえすれば、どんなものにでも花をいけることができる、とはいうものの、允エ缶や一升瓶にいけたのでは花が何となく可愛そっに見える。もともと花器は食器と違って人聞の生活に必要な器が作られるよ、つになった当初からあったものではない。原始的な生活から抜け出して、文化が或程度の水準に達してから室内に花をいけて飾るということがはじまったと考えてよいだろうと思う。しかし、もともと花器というものはなかったので、花がいけられ始めるようになった初期には、他の用途で作られた器が転用された筈である。実際に花をいける文化の古い中国でも酒器や食器として作られた銅器がまず花器に利用されるようになった。次の頁に周時代から漢時代までの古代の銅器を並べてみたが、①士官は酒や水を入れておく器で葦のあるものが多い。②は盤で浅く広い洗面器型の器で、祭肥や饗宴のときには手を洗うのに匝という器で水をそそいで盤でそれをフけた。③立花等でもよく使われている尊型の花器の原刑にである。④三本足の竹器を鼎とよんでいるがこの銅器の形をとったものである。三本の足の上は鍋型だがこの形の2

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