テキスト1996
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一OOO本の慢の木から造られた船Q。ヴァlサロヴの発見から五年の歳月三OO年のロマン一九六一年四月二十四日、スウェーデンのストックホルム港の、ベックホルメン島付近の海底辺メートルより、巨大な正艦ヴア|サ号が引き上げられた。処K航海に出航しようとした矢先に、艦の設計ミスで無傷のまま沈んでしまった軍艦は、一二三三年間の限りから眺めてほぼ当時のままの姿を現した。来春出版される両親のいけばな作品集のスタートとなったスウェーデンでの撮影の時に、ヴア|サ号の博物館で、その巨大な戦艦を見てきた。体、mm余砲、王の威厳を象徴する重厚な彫刻と、一九二八年のスウェーデンの最高の造船技術が目。川にあった。また船内に柏み込まれた艦上生活のための日用品の数々。本の血やスプーン、錫製の皿やフランス製の陶器は一般兵士と士官の暮らしの追いを教、えてくれるし、木製の怖からはバターが奇跡的に残っていたり、酒を入れた数行本の錫裂の瓶のっちの一本にはラム酒に似た酒がまだ残っていたそうだ。内OOO枚の貨幣や海兵隊員の服や靴に、それらを自分で修給するための皮ゃくさび、非番の時の暇つぶしの遊び道具などもあ桑原和則りあるマスト、臼門の大ヲ令。桑原山中慶流の三OO余年の歴史とをかけて海底から引き上げ、その後十八年かかって船の保存作業をし、仮博物館、新博物館と手厚くその居場所を建設し、全長ωm、トンの兎姿をそのまますっぽりと包み込んで、そこを訪れる多くの人に卜七世紀へタイムスリップをさせてくれる、そんな夢のような事をスウェーデンの人達は真剣に又情熱を掛けてやり遂げた。スウェーデン人の心の奥底にある航海のロマンみたいなものを、自分たちの手で確かめたかったのかもしれない。ヴァlサ号引き上げの翌年一九六二年十月、私達の祖父、先代の家元が桑原専慶流「テキスト」の第一号を発行し、先月で四OO号となった。一九八O年より父仙渓が引き継ぎ、母と共に俳号その季節の表情をとどめ、桑原市中慶流に受け継がれてきたもの、また現立の新たな創立歩品白さんにお伝えするため二人三脚でがんばっている。父の文章は、花を活けることから拡がっていく豊かな心というものが常にテ!?になっているように思う。母の自由花は花の持つ生命の美しさ強さを感じさせてくれ代々が伝えてきた精神は、私達の心の底に少しずつ柏み重ねられて新たな息吹を与えられ又次へと継承されていく。ヴァlサ号の歴史と重ねて、そのロマンを思う。二二077

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