テキスト1996
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ほど気温も上がらず、時折庭木の間を、ざっと通り抜ける風の音がしていた。立秋、秋の気配なのだろう。その頃から秋は行きつ戻りつ徐々に夏と入れ替わって行く。庭の木僅も盛夏とくらべて花も少なくなり、薄が穂を出すのが私の家の秋の兆しである。私達は秋草の好きな民族である。野山で静かに咲いている様々な草花達も、集めてやるとかなり賑やかに会話を始めているように見える。秋の七草を揃えていけるのも嬉しいことであり、作例のように七草のうちの幾種類かに罰亦艇をそえてみてもいい。ざっくりした感じにいけたいが、水際の乱れやすい花材なので職械でおさえている。花材対郎加吾亦紅mチ桔梗藤袴花器胡麻竹コスノ窓竹筒先月号でも出較は三作もいけている。それはよく承知していながら花屋で咲きかけの杜若を見ると、つい宮川ってluキぞっ。ある一つの花が好きになる、というのは、単にその花の色や形が良いからというだけのことではない。手に触れたときに感じる柔かみや水々〈6頁の花〉見るとつい::h6

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