テキスト1995
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榛はAの木きたたヨず花型留流し花器灰白色紬水盤雪山の斜面を背景に俸の木の黒褐色の実と冬枝は春を待ちながら寒空の下にうっそりと件んでいる。幹から枝先へ、細校までもしぶとそうな強靭さを宿している。生花としていけるなら、そのような感じにと思いながらいけた一瓶である。榛の木も上部は素直にのび上がった若枝が多く、中程から下は古枝で、傷めつけられながら育った曲がり枝が目につくようになる。胴に使ったのもそんな一伎で、実際にはこれほど屈曲していなかったが、更に境めて変調な胴の枝としてこしらえ上げている。榛の木としていけ花に使われるのは本来の榛の木より実の大きいお見五倍子で、開花期には黄色い花粉が多量に散るので使用は避ける。6

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