テキスト1995
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その昔、近江の高島の比良明神で天台僧が法華八講といって法華経八巻を旧暦二月二十四日前後に講じたという。(現在の三月二十四日頃)漸く春らしくなり始めたのに、その頃急に冬に逆戻りして琵琶湖には強風が吹き荒れ、京都に雪が積もることさえある。三月の中旬、二月の底冷えから解肢されたような気のする暖かさもまだまだ信用してはいけませんよ、というのが京都でいう「比良の八講荒れ終い」で、これが過ぎて本当の#が来るのである。京都には古い諺が多い。そしてそれらは京都の風土性や京都人の気質の一面を的確にとらえていて面白い。いつ、誰が作り出したとも云、えない諺や監誌が街術恥や浄瑠璃、狂言にまでとり入れられて伝わり続けて行く。京都の春は奈良の東大寺二月堂で御水取りが三月十三日(旧暦二月十三日)が済んでも、比良の八講荒れ終いを過ぎてからしか来ないようである。又、それを一番よく知っているのが京都の草木達らしい。〈花表材紙のエト噌,g花色リル帆バ〉柑カコ水ご重護;iu,;花器花井K比良の八講荒れ終い2

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