テキスト1995
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花を憶、える〈表紙の花〉花材アイスランドポピl花器陶小型白深鉢煉瓦色紙紐ひょろ長い茎の上に、斡すんで嘉立ったむき苦しい表皮(琶)に包まれているポピーの奮は、例えて云うなら蝶の婦のようなものである。暖かみで奮がふくらみ、表皮が破れて柔らかい春の光を浴びると羽化した蝶が協を拡げるよ、つに花片が大きく開いて、鮮かな赤、賞、オレンジ、白、ピンクと明るい色が花畠を覆いはじめる。四十年程昔、入院していた高原の病院の春、畠に奇妙な奮が生えているなと思っているうち、桜の咲く頃、琶会撮って開いたのがアイスランドポピーだった。広い花畠がこの花に埋めつくされた日の霞がかった春の杢の色、暖かい微風の肌触りが一緒になって、季節と共に巡り逢いたい花として心の中に接みついてしまったようである。アイスランドポピlは花器の色にも気を遣って明るく、優しくいけたい。作例では白い小さな花器に四色のポピ!の茎を見せながら立て、自い花器の周囲を煉瓦色の紙紐で囲ってみた。花材シクラメンガーベラペア・ピット〈2頁の花〉8民に統〈〈ろけぽ2

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