テキスト1994
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ι勺りば岳樺だけかんば花型草の草型花器柿色軸水盤昔樺は私の最も好きな樹木の一つである。命名通り、山岳地帯の俸の木で、霧がかかったときの幻想的な姿、晴れ渡った日、碧空に鎮められた若葉を透過する清例な光の下に立っていると、下界での汚濁がすっきり洗い流されるよ、つな気がする。庭に植えて毎日眺めていたいような樹だが、街の中では育たないだろう。時々いけ花として身のまわりに置いて見つめている。いけ花はそのために考えられたものでもあろう。岳樺は一本一本それぞれ特異な枝振りである。その変った枝振りは無理に標準的な生花の型に押しこめない方が良い。この花型は一応留流しのように見えるかもしれないが、私としては副を左に張り出さず、上に伸び上がらせた副流しのつもりである。枝は殆ど撲めずにそのままでいけ上げた。7

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