テキスト1994
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季節を作る花材カラl白と紫紅色の二種フィロデンドロン・インベレースフラワー花器瑠璃色紬手付水盤温室栽培のカラーが最盛期に入った。自然開花期は初夏なのだが一月にいけてみると柔かい茎の線も切り立ったように冷たく見える。レースフラワーをとり合わせて瑠璃色の花器にいけてみるとその感じが強まる。そこに赤紫色の少し温かみのあるカラーがほんのりと、底冷えのような鋭い寒さに早春のぬくもりをそえていヲ令。ある有名なフランス料理のンェフが、「旬のものにばかり頼っていないで季節を感じきせるものを作れ。ジャガイモ一つからでも出来るんだ」と弟子にお説教していたのを読んだが、云われてみれば、いけ花にもそれは大切なことではないのだろうかと思う。花もそうだが、野菜、魚に至るまで季節の怪肱がはっきりつかめなくなった現在、本来の季節の花をいけて見せるのと並行して、無季節的な花材で季節感を作って見せる必要も例えば水仙の初花を生花の約束通りにひっそりした感じにいけておいても、水仙の季節を知らない人はどう感じるのだろう。「あら、締麗だわね」ですまされそうである。〈4頁の花〉γ。。ホ4

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