テキスト1994
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だったが谷崎さんは御自身で魚屋に応待なさることもあったらしい。私の家でも魚屋の目当ては父だったようで家に屑る日は必ず呼び出されて魚を選ばせられていた。そして谷崎さんへ先にまわった日は、谷崎家の献立の情報を聞かされたが、奥様が料理に秀でておられたのだろう、良い選択だった。京都に来られてからは、たん熊さんによく行っておられたそうだが、ご自分の味に対する経験や造詣も随分広く深い万だったのではないかと思っている。ひるがえって、私は料理を作るのは好きだが、物の味が本当によくわかっているのかというと、あまり自信があるとは思えない。(次号へ)〈4頁の花〉花材小予盛花器淡緑色紬花瓶小手芭は冬の問から加温して咲かせたものがいけ花に使われている。だが本来の開花は四・五月なのだがその頃咲く小手控は、加出開花させたものより全体が淡い茶色にくすんだよ、つに見える。小さく、丸くかたまって枝にいくつも連らなって咲く花の重みで細枝が大きなカlブをしている。そのカlプを生かすよう枝は切りつめないで長く使いたい。強い亦のアンスリユ|ムをとり合わせると、アンスリュlムイ子琶の白さがひき立って見える。花材ガーベラ貝母グリーン・カラー花器瑠璃色糊水盤配色に留意した盛花で季節柄、すっきりと軽い感じにいけた。〈5頁の花〉4

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