テキスト1994
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初旬、春を待つ一瓶である。花材枝し垂たれ柳A78花器煤竹二重切筒枝垂柳は姿のままに大きく長く、そして幾僚も幾僚も垂れ下がらせたい花である。この枝垂柳の芽は、もうかなり大きくふくらんできている。暖い部屋にいけておけば、四、五日で柔らかな花穂が、寒空に震えていた細枝にふんわりした温かみをそえ、もう春になったことを微風に揺れながら身振りで告げる。下にいけた社丹も柳に誘われて咲いたように見える。柳の足元には上品に淡紅の俸をそえてこの一瓶ができ上がる。和則作花材白梅苔枝牡丹花器赤褐色軸花瓶苔に覆われた老木の枝には一、二輪ずつ点々と花がつく。若木は枝先まで隙間もなく花が連らなる。いけ花に好んで使われるのは老木の方である。私達は梅の老木の姿に何を感じるのだろうか。古代からその件いは様々に表現されてきたが、いけ花としては華やかな花もよく似合うのが悔の苔枝である。大輪の社丹で上品に調子が整ったようだ。〈2頁の花〉〈3頁の花〉権牡丹3

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