テキスト1994
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もくれん木蓮真立花花型除真請流枝控枝英一迷の実立花では請と流枝は別樋の花材を使うことになっているが、一副郎総企ては同種の花村に変化をつけて用いる。作例では請の松は葉がよく茂っているが、その別れ口から出た流枝は苔のついた枯校になっている。丁寧に仕上がった上品な立花である。前置白情見越寒桜草留紅流枝松苔校正売管菊淡紅木留英孟の実真木蓮副寒桜請黒松桐伊吹花器和陶別立作花瓶小菊「立花時勢粧」から初代冨春軒の「部和仲間黙秘−Lに記されている事の中で、私のとくに好きな一節は社丹は花玉という名を町び、高位高官の御方にて宗匠の外門弟の挿すことをゆるさず。古代は花大切なる故、木を残して茎より切り、筒(受筒)に入れ、胴に用いて請、副に遣わず。誠に立花の道理さもあるべきことな書いたあとすぐに続けて、然れども近代、真、請、副に用ゆるは、世上沢山にて時相応なるべし。とつけ加えて立花図集の三巻目に牡丹を真、請、正真と胴より上に木部から切りとった丈の長い「社丹真」の立花を掲げている部分である。一応古くからの仕来たりは尊重しながら、近頃沢山栽培されるようになった社丹の美しきを大きくいけるのはよい事ではないかと云っているのである。ともすれば先人の立てた約束事に縛られて花材の使い方まで定型化しそうな傾向は元禄時代にも起こっていたのである。だが立花の構成は気に入っていたらしく、随分変った花型を作っていても構成の基本ははずさずに立てて私達に創意の道を聞いてくれているのである。11

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