テキスト1994
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木賊寒牡丹花型株分け花器冬の木賊は先が立ち枯れ、霜で所々赤茶けても、庭石の傍りでなお濃い緑を保ちながら行儀よく立ち並んでいる。木賊は庭園に植えるだけでなく、塩水でゆでてから乾燥させて木製品の研磨材として有用な植物だった。従ってかなり多く栽培されていたので古くからいけ花にもよく使われた植物の一つである。子株の寒牡丹は初冬に一度咲いて実ができたあと又日溜まりで花が開いたという妙な社丹である。やや低く左に出ている副の葉は一部分紅葉し、留に使った小枝には発育不全のような小さい実がついている。此頃の冬は気温が上昇したために冬枯れする筈の植物でも枯れずに春まで生きのびるものがふえたそうである。この社丹も花屋の畑に植えられていたので環境がよかったせいで狂い咲きしたらしい。変った冬景色として木賊ととりあわせると、寒々した感じが漂、つよ、フである。信楽水盤8

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