テキスト1994
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ue椅いい桐花が』け材椅ヲ令。花器小枝の龍椅桐は飯桐とも書くが、古い昔、この葉で飯を包んだので予」う名付けられた。いけ花に使うのは、初冬に入って南天の実を一まわり大きくしたような実が色付く頃からである。枝ぶりに面白味がないので実付きのよい房だけを利用することが多いようだが、大枝をそのまま眺めていると都ひ生びた大らかきが出せそつであ(飯桐又は南天桐)そこで花器はフィリッピンの民芸品の龍、花は菜の花をそえ、刺子の川大風呂敷を拡げた上に飾ると正に却の花という感じである。椅桐は桐とは全く別科の樹木で、材が桐と同じように柔らかく軽いので混同されてきたのである。花材としては切り出されたままの大枝で売られているが、山で自生しているものの中には樹高羽灯、幹の直径1μはどの大木もあるらしい。そして落葉してからも実は落ちずに残るので、大きな風景の中では大変美しい樹木だそうである。私達は現在いけている花材がどんな環境の中で、どんな姿で生長を続けているのか知らないものが多い。私にとって椅桐もその一つで、前段で書いたような大木の椅桐は実際に見たことはないのである。或は見たのかもしれないが、実の赤く熟した季節でなければ、その木が椅桐であるということがわからないのである。野山を歩いていても名前を知らない木の方が多いが、有難いことに、このテキストで花材の解説をしなければならないので毎月植物図鑑を首っぴきで調べているうちに、いけ花に関係の深い植物だけはどうにか見分けがついて名前も云えるようになった。名前がわかると、自分のいけたことがある木が、雄大な自然の中で堂々とした姿で立っているのに出合うと偉い人と親しくつき合っているような感じがしてとても気分のよいものである。栽培植物でも、その野生種が咲いていると今迄気付かなかったその草花本来の姿が周囲の環境の中でどのように生きているのか知ることもできる。ある程度まで植物の名前を覚えると、知らない植物に出合っても、それが大体何科の植物なのか見当がつくようになって、植物図鑑で調べるのがだんだん楽になってくる。いけ花に使う植物は全体からみれば僅かなものに過ぎないが知り合えたのは大変幸せなことなのである。桐6

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