テキスト1994
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〈表紙の花〉花材アマリリスエピデンドラムスイートピーアマリリスは派手な花である。大きくて白花も赤花も色が鮮明なので、いけ花展の会場ではよく目立つ花材である。私の印象にとくに強く残っているアマリリスは、今からお年以上たつが素子が第一回日本いけばな芸術展で使ったアマリリスである。聞いた花はおでか、もっと大きかったように思う。色は黒ずんで見えるほど濃い赤だったが、それ以後そんな強烈なアマリリスには出逢っていない。それから一年後、下の娘のはなが生まれた日、病院の庭で院長さんの手入れしていたアマリリスは、白、白と亦の縞や柔らかい赤等叩鉢ぐらい並んでいた。六月の明るい庭に咲いたその優雅な華やかさも心にしみついていて、アマリリスをいける度に目の前に浮かび上がってくる。アマリリスの美しさは、そのふくよかで水々しい若緑の茎に支えられている。白花海苧もそんな性格の花で素子が好んでよく使っている。白花のアマリリスにはどんな花をとり合わせても色映りがよいが、とくに淡い赤紫がよく合うようである。作例では白||紫11淡紫に移るスイートピー。その淡紫からエピデン花器ガラス深鉢2

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