テキスト1994
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水仙花材水仙五株花器鉄彩魚絵角形花瓶花型真型夏もすでに遠く、秋もそろそろ終りに近付く晩秋から初冬に移るわずか旬日余り、それは他の季節とくらべてJといね閑雅に日々が過ぎて行く。初冬の閑かさ、ただ静かなのとは趣がちがって上品な香りも含まれているような気がする。水仙の初花をいける頃、椿も咲き始める。寒菊も冷え冷えした夜気にあって真赤な照葉の上に小さな黄色い花を聞かせる。「好きなお花は、」と聞かれると今の季節なら即座に水仙、棒、寒菊と答、えてしま、っ。華麗な花も好きだし、珍しい花もいけてみたい。だが毎年季節が巡っ一TノJ1Jノ、〈鰯。かな水仙はあまり無理な形にいてきてやっと出合える花を手にしたときの思い入れは年ごとに深まってけないようにしようと思う。だが袴を抜いて葉組を始めると、最初手に持ったときの姿、感じと少しずつ違ってくる。袴から抜き取った葉は三本分ぐらいを並べ、どの葉と、どの葉を組み合わせればよいのか一枚一枚組み上がりを試しながら葉組を進めて行く手に長く持ち過ぎていると葉が温まってくたびれるのでできるだけ手早くいけたいが、それには稽古を重ねて水仙の花材としての特性をよく知ること以外に方法はない。グ切jb 8

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