テキスト1993
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ストレリチアは明治五年(一八七二年)に渡来しているそうだから栽培されて百二十年にもなる園芸植物である。原産地は南アフリカだが、日本でも霜の働りない暖地では戸外でも冬を越すことができるくらいなので、切花として多量に栽培されている。渡来して百二十年もたつと、その生態も充分観察きれ、その葉と組み合わせて生花としてのいけ方のきまりも出来ており、洋花としては古典的な品種の花材と云ってよきそうである。そしていけ花花材として使いこなされ、見馴れてくると、ストレリチアも松や椿といった日本的な花材ととり合わせられて、お正月の床の間にいけられて違和感もなくおきまるようになってしまう。作例にはストレリチアを8本使っているが、この賑やかなオレンジ色の花の集まりには椿の中でも赤やピンクの椿では配色がよくなくて、白椿だけがストレリチアの花色を美しく感じさせる。ストレリチアの花は色々な方向に向けて高く挿し、下の方は葉付きの多い白椿を選んで緑豊かにまとめる。花材ストレリチア白椿花器かいらぎ鉄粕大鉢渡来植物11

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