テキスト1993
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〈4頁の花〉草花と花木。親しみゃすきと品格。に稽古するので道場でなく、凍てつ菜の花と俸は対照的な花だが、とり合わせていけてみると、一部屋が優しく早春の風趣に満たされる。寒中の椿は厚い濃緑の葉が艶々していて、その最も美しい時期である。始めるほど熱くなるのがわかってい葉のよく繁った枝を選んで汚れを拭きとり、予め考えながら余分な葉を取ってから花器に挿し、更に不要な葉を整理する。この盛花では菜の花の下部の葉はとって椿の枝葉の邪魔にならないように挿している。花材紅椿菜の花花器黒色陶杯型花器小学校から中学校(旧制)にかけて、毎年三学期は早朝の剣道の寒稽古で始まった。多分五日間ぐらいのものだったように−記憶しているが、小学校の頃は家も近いので早朝六時の寒稽古は楽しかったが、神戸から豊中まで一時間半もかかる中学校での寒稽古に毎日通うのは辛かった。小学校の頃は希望者だけが集まって道場の中で稽古するので、あとで出される芋粥も含めて楽しかった。その頃中学校では剣道か柔道は正科にされていて、寒稽古の出欠は成績に直接関係するので休むこともできない。基本型ということおまけに千五百人近い生徒が一緒いた校庭を裸足で竹万を振り廻しながら一時間以上右往左往させられるのである。だが始まって五分もすれば汗が出るので寒きは苦にならなかったが、あとの授業は時々目を覚まして断片が聞くともなく耳に入ってくるような一日で先生におこられ通しの五日間だった。中学校の剣道では、まず基本動作を叩き込まれた。まず防具は正しく着用しないと動きが悪くなるし、仕舞い方も稽古の後点検される。最初の聞は打ち合いはさせてもらえず摺り足での歩の進め方、竹万の構、ζ次に相手は無しで、献や除手、胴を打つ動作や突きの型を繰り返し練習させられ効率の良い動きを覚えこまきれる。次に二人向き合って一方が面なり胴なり号令通りの場所を打ち掛かり、相手はそれを防ぐ型を反復して練習する。そして段々複雑な型に稽古が進んで行く。一体こんなことを繰り返して実戦の役に立つのだろうかと疑う気持が起きてくるが、少し課程が進んで自由な打ち合いの稽古に入ると、その成果が徐々にわかるようになる。基本として教えられた型にはずれた打ち方は必ずはねのけられるし、4

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