テキスト1993
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〈表紙の花〉私がストックホルムでよく泊るホテルの通りには、アンティlクな調度品の店、北欧調の上品な家具屋、そしてカーテンや椅子に使う布地からインテリアの小物まで揃えた大きな店が三軒並んでいる。どの店にも買って帰りたいような物ばかり飾られていて見飽きないが、純和風建築の私の家には台所以外の椅子やテーブルは必要ないので、毎回食器類やテーブルクロス等の小物類を買って帰る。スウェーデンの人達は明るい色が好きである。暗くて長い冬のせいで明るきを求める気持が強いのだと云われているが、その求め方が素直なのだろうか、原色多』多量に使っていても染め上がった布地の配色には嫌味が感じられない。表紙めいけ花の敷物に使ったランチョンマットもその一つだが、よく見れば京友禅の黒地の着物に、こんな配色があったようにも思える。そう云えば、京都の冬も曇り日が多く底冷えして陰惨である。京阪神とは、京都、大阪、神戸の三都を一並べによぶが、他の二都とくらべて京都の冬はかなり暗い。北欧の戚広見でデザインされたチューリップの柄のランチョンマットは私の家の食車で毎日明るく会話をはずませている。春ももう近い。早咲きのチュlリ2

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