テキスト1993
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もよいからのびのびと組み上げてグロリオーサをその形の中に散らし、自の小菊を中段にまとめると、洋花をまじえた季節の一瓶となる。花器黒色粕耳付花瓶かわいい小柿だが、いけ花用に切られるのは大抵渋柿である。土塀の向うの大きな柿の木、その実の色が空にくっきりと浮かび上がると、これが私達の暮らす風土の色だという喜び多』感じる。だが柿は奈良時代以後に中国から渡来したものらしい。そして菊もそうだが日本で柿の園芸栽培が進んで品種も増え、味もよくなった。作例の小柿は若枝らしく、つんとのびた直線が心地よい。まだ青みを残した実には黄色の菊がよくあう。折れやすい柿なので枝振りのまま素直に挿した一瓶である。柿黄菊二種挿花型副流し3

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