テキスト1992
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ラスヲ令。重厚で働き盛りの壮年、といった深山南天(みやまなんてん)晩春から初夏にかけて、枝物花材のどれをとっても新鮮な緑が植物の若々しい生長力を感じきせ、添えられた草花の色がそれを、より美しくひき立てる。春に芽吹き、初夏に生長した木々も、夏を迎える頃には枚一杯まで大きく葉をひろげ、緑を深めつつ照りつける太陽と豊かな雨を、つけて充実の季節に入る。そして明るく、すんなりのびていた枝には濃い緑が茂り、重厚さを見せるようになって樹下に深い影をつくり私達にやすらぎを与えてくれ感じのするのが夏の枝物花材だが、協叫献苅(献和弘寵)だけはどこか瓢然としたよ、つな枝ぶりで山奥から運ばれてくる。とり合わせには、淡色の賞花海芋と姫百合を選んで切手のガラス器にいけてみた。よくしまった深山南天は、場の枝物花村と違って、殆どそのまま使っても枝葉は重苦しくない。水際に葉がこみすぎないようにいけ剣山はガラスの砂利で隠している。花材深山南天(阪和廿寵)花器他の夏黄花海芋姫百合ガ切子硝子鉢、6・7

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