テキスト1992
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自由花の投入二作〈写真上〉花材裏自の木(山梨)アイリス紅菊花器灰白色粕花瓶右斜下から左斜上に帯のように走る裏自の木が濃紫のアイリスと濃紅の菊を上下に分けている。この投入は、まず裏自の木の最も姿の良い面を見せて挿し、アイリスと濃紅の菊は、その姿に合わせていける。作例では山梨を挿したあと花瓶の口の左側の上と裏自の木の下が大きくあいているが三輪の濃紅色の菊を配置して裏自の木の葉の白緑色を浮き上がらせ、高きをつけるためアイリスを用い、単調な裏白の木の葉の線に動きも与えている。〈写真下〉花材藤(紫色)花器トルコブルl長花瓶藤棚の藤は行儀よくまとまっているが野生の藤は渓谷の新緑の木々の間で思いがけない所まで蔓をのばして美しい花を数房咲かせたりしている。この作例は野生の藤の気億な枝振りを想い描いていけてみたのだが、水際に数一房の花をまとめて挿し、立ち上がる蔓の足もとを整えている。水揚がりのよくない藤は葉はとり、切りたてのものをいける。’ま7

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