テキスト1992
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第三柿郵便物認可桑原専疫流いけばなテキスト344号1992年2月1日発行(毎月1回1日発行)桑原専座流家元発行定価五00円庭の枯色は薄だけになってしまったかと見上げていると、足下に不喰し芋の葉か綺麗な色に枯れている。まだ水気も残っていて柔かく、緑が抜けたばかりの枯葉らしい。枯葉の美しさは古来様々に用いられてきた。落葉はもとより‘敷き松葉、この頃あまり見かけなくなったが‘庭に厚く敷きつめられて、もの寂びた褐色の落ちついた枯色は私達に冬の深い美しさを教えてくれる。明るい枯色では麦畠の黄金色で、収穫期、青空の下にどこまでも拡がっている麦の大平原に立つと、ヨーロッパやアメリカという国々の底知れない力強さの源泉を感じさせられる。豊かで頼もしい美しさでもある。私達が枯色に惹かれるのには色々な理由があるのだろうが、私も一時よく枯物花材を使った。枯物花材をとり合わせにまじえると、一緒に挿した生きた花のみずみずしいうるおいがひき立つ。そして、私がとりあわせとしてよく使うのは焦茶色の枯葉には赤か黄の花。明るい枯色には赤い花をよく使った。作例は少し茶色みがかった枯葉だが同系色に近いオンシジュームをとりあわせ、大きい面の枯葉と小さい花とを対照させていけている。花材不喰芋葉オンシジューム花器飴色釉扁壷い枯色

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