テキスト1992
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^表紙の花>文人画で松と薔薇のとりあわせを不老長春とよんでいるが、転じて文人挿花にもその名題が使われている。上品なとりあわせのいけ花で、お正月にもよくいけられている。表紙に松と大きく開いたチューリップをいけてみたが、これも中々良いとりあわせである。松は日本の風景からはずすことのできない樹木だか代表的な種類は黒松、赤松、五葉松の三種にすぎない。その三種にすぎない松でも、私達はその姿の夕多椋さを知っている。若松の素直さ‘老松の老捨で雄渾な姿。庭木として手入れされたときの端正な上品さ、そして少し手を加えると三光松のような松の葉付きの面白さか生まれる。松には大きい花弁で色の鮮やかな洋花もよく似合う。アンスリュームや各種の蘭、ヘリコニア等芭蕉科の花ととりあわせたりもする。三光松は密生した葉のまとまった形の良さが枝振りの単調さをおぎなっているので、そのまま高くも低くも使える。三光松を生長の過程で人工的に曲げた瑞光松というのも市販されているが、あまり品の良いものではない。作例は密生した松と、全開したチューリップの鮮かな赤を美しく見せた盛花である。花材三光松チューリップ花器砂色金彩扁壷す、こうまつキ1-2

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