テキスト1992
132/140

あか晩秋の汀空に銀められた柿の色北国では、雪山を背景に、梢に残った柿の色と、あたリの寒々とした時寂さ。柿は先史時代からの日本の色だと思っていたが、実は奈良時代に中凶から渡ってきたものであるらしい。ところが日本の風仁や、人々の晴好によく合っていたせいか、原産地の中国より多くの品種が育て上げられ、美味しい柿が作られるようになった。いけ花には校振りのよい田合の渋柿、時には美味しそうに実った大杭の廿柿、それから小村のな柿(信濃肌)も使われている。八表紙の花〉柿の実の色が濃く色付いてくると、葉も紅く染まって行く。柿の照り葉は大きくて艶があり、一柴そえておくだけでも柿の実の秋色が深まる。だが表紙に使ったような色の揃った校は少ない。色付いた柿は青竹とょう合う。京都の周辺には昔から竹厳が多かったが、利払が住んでいた束悩寺の裏山の竹薮は日課のようにしていた父との早朝の散歩道の一つだったこの竹蔽の中には二、コマヶ所柿が刷、えられていて、晩秋、深い占竹色の幹の聞にのびた枝先の柿色は、京都という風土の配色として私の季節感になっている。柿の色2

元のページ  ../index.html#132

このブックを見る