テキスト1992
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赤芽柳花型副流し花器煤竹す筒赤芽柳をいけていると、昔生花を先代に習い始めた頃の事を想い出す。丁度その冬、小きないけ花展があって、私に生花を出品して来いと命じられた。それまで赤芽柳は二、三回稽古して、二十本前後しかいけたことがなかったのに六十本買ってきて、九時頃からいけ始めたのだが十二時になってもいけ上がらず、二時、三時を過ぎて殆ど徹夜でようやくいけ終り、朝会場に持ちこんだ。乱れた赤芽柳の手直しを始めたところ、隣の花席に先代と同年代の長老が同じ赤芽柳を持ってきてすいすいといけ始めた。そうなると自分の赤芽柳がいかにも不格好に見えてくる。暫く感心して眺めていたが、その家元は後に立っている私に色々をことを無言で教えてくれた。先代に教えて貰っている時と違っ6

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