テキスト1991
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、司〉り!レい。jo床の間には作例のような花をいけ、千二百年もこの街に住んでいながら、未だに私達は京都の夏の蒸暑きに不平を云っている。気温が三十五度を越す日も珍しくないし湿度も高い。夜も眠れないとこの季節を皆が毛嫌いしているが、ニューヨークの夏もたまらなく暑い子供が勝手に消火栓をあけて、噴き出す水の中で跳ねまわっている写真を見ると、これがニューヨークの貧しい子供達の錯夏法らしい。とても夏の風物というおだやかな光景ではないotEつような暑さなのだろう。夏には犯罪も多くなるらしい。私は夏のニューヨークは知らないが小説、とくに犯罪小説には苛立つような暑きを微に入り細に入り崎写をくり返している。エアコンのきかなくなった車の中、安アパートの中で暑さに身動きもできず汗にまみれて寝転んでいる入、そして犯罪という図式のニューヨークとくらべて京都の夏は何とおだやかなのだろ衡を吊ってお素麺を食べていれば総聞なことも起こらない。夏の風物は目の前をおだやかに過ぎる。花材深山南天花器京都|ニューヨークカサプランカ(白百合)焼締め手付花瓶8

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