テキスト1991
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』人的川た松虫草はフラワーデザインの方でも人気があるらしく、花屋ではスカビオlサという名で売られている。スカビオーサは西洋松虫草のことで原種の花色は濃い黒紫色をしており、栽培品種は赤、ピンク、白などがある。八月の中旬になると、中部地方の高原で淡紫色の松虫草が咲きはじめる。これか日本の松虫草で、高さは印1卯でになって群花を作リ、早く訪れる山の秋風に揺れる。とりあわせには高原の涼風を想い起こさせるような縞薄一本を右になびかせ、松虫草の下生えのような感じに紫L紺野牡丹λを挿し加え、花と上部が同色の花瓶を使って静かに季節感を漂わせた。紫紺野社丹は野牡丹科に属しているが日本の野牡丹とは別属でブラジル原産の熱帯花木である。明治の末年渡来したが六・七月頃から鉢植が売られている。日本の野社丹は沖縄に自生していて初夏に淡い赤紫の花が咲く。以前は野社丹と云、えばこの花だったのだが紫紺野牡丹の鮮かな紫色に押されてあまり見かけなくなった。花材西洋松虫草(白)紫紺野社丹縞薄花器辰砂粕花瓶立秋の高原に一足6

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