テキスト1991
93/147

〈4頁の花〉〈5頁の花〉がつながって大きな平面にならないよう、大小とりまぜて調子をとる。5頁の作例では社若は花は使わず実と葉だけで構成し、四輪の淡紫の普破と白番蔽をとりあわせ、花器も淡紫色を選んだ。社若の実は品の良い花にくらべると武骨だが、茎の曲がりを見せて動きの大きい形に組み合わせる。ところで私はいつも杜若と書いてカキツバタと読ませているが、流祖一品春軒の志和昨掠胞が杜若という字を使っており、それを代々踏習しているのである。杜若は元来中国では吐若と書いて前総伽脈の小型の植物だが、日本のカキツバタを誤って杜若と表記するようになったという。又燕子花と書いてカキツバタとも読むが、中国ではデルフィニウム属の花にあてられた名前だそうで、これも誤用である。社若の語源は、昔この花の汁を摺りつけて染めたから、館山川取、又は軍情放とよんだのが諮ってカキツバタになったというから律問と書くのが筋かもしれない。花材杜若河骨花器長方形足付白陶花器花材蓄破白、淡紫社若実と葉花器淡紫色足付陶花器5

元のページ  ../index.html#93

このブックを見る