テキスト1991
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チューリップがピンク、黄、淡い黄緑。スカビオーサ(西洋松虫草)のピンクがかった淡紫。デルフイニュームの青紫。リナンサスはチューリップより幾分濃いピンクである。まさに色とりどりの盛花なので、花器はどの色とも意障りのない銀製のワインクーラーを使って飾り花風に短くいけてみた。いけ花とフラワーデコレーションの違いがよく問題になるが、それは多分に精神的なもので、花の生命を感じとり、それを生かそうとするか花を単なる物と見るかの相違としか云いようのないことがある。いつか詳しく書いてみたい。ここ暫らくの問料理の取材が続いている。いけ花の仕事に支障を来さない経度にお引き受けしているが、テーマによっては無理しても作ってみたいものもある。大体私は、日本料理なら純日本的作り方、洋風或は中華風なら出来るだけそのよ、つな感じに作ろ、っとして来たのだが、よく考えてみれば外国の料理も結果的には日本の風土、生色とりどり仙渓活慣習にあわせた作り万になっているよ、つである。それなら、いっそのこと料理の垣根をとり払ってみたらどういうことになるのか試してみたのが今回の、眼にも舌にも和洋とりまぜ「和洋混莱の食卓」というロ頁である。作った料理は同種類だが作り慣れたものもあれば、私の経験から推理して、こういう手順で、こう味付すれば多分こんな昧のものができるだろうと考えて作った新作もある。素人料理の面白きは専門のない点であろう。昼に日本料理を作って夜は西洋風と気分のままに好きな料理に手を出せるのである。反対に素人の悲しきは、余程年季を入れて作り慣れたものでない限り毎回同じ昧が出せないことである。その点玄人は、どんなに悪くても必ずお点以上のものが作れるところが素人料理との差なのである。子供の頃から料理作りに興味を持ち出して半世紀以上になるが、おかげで調理も含めて、食事について多少自分なりの考えも持てるよ、つになった。ただ私は作るのが好きなだけで食通という人種ではない。そして自分で料理していると、世の中に本当に食通などという人がいるのかどうか信じられなーなってきてしまった。S0PH~A (私ソ震のフ喜和ィ?若ナ言葉雲;8

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