テキスト1991
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いつの間に咲いたのか、庭の隅の水溜めにつけておいた桜の使い残りの一枝に花が咲いている。忘れていたのが申し訳ない想いで鉄線を五輪添え、胡麻竹の筒にいけてみたが中々良い枝振りである。こんな枝を使っていけていると、昔先代かいけ花展に使った花材の余った分を、「これはまだ見所のある枝ゃから工夫していけてごらんLと短い枝を集めて渡きれたのを想い出してしま、70先代のいけ上げた立派な立花の横で小枝を寄せ集めていけていると見劣りのするのはやむを得ないが興味が乗ってくると中々面白く、時にはうまく入って感心してもらえることもあった。残り枚は思いきりよく自由に使えるので良い稽古になる。花材鉄線花器八〉・・修学旅行生や観光客でにぎわう京都市東山区の清水寺本堂(国宝)に高さ一立華HZ真Hが生け込まれ、参拝者らの目を楽しませている。家元の桑原仙渓さん(六=一)H京都市中京都新聞晩春の桜洛中洛外胡麻竹寸筒3月幻日夕刊・五μ、幅二・玉川の桜の京区H。「幼いころから桜が咲き誇る清水きんというイメージがあり、一度、ご本尊の観音様にわが流伝統の桜の立華をお供えしたかったと願っていたところ、清水さんの好意で夢がかないました」0・・・清水寺執事長の大西真輿さんは「いろんな芸能が奉じられてこそ清水の舞台だと思いますし、花の美しきに触れた人々が観音様の世界に一歩深く入りこんでいただければ」と歓迎している。献花は二八日まで。献花させて国いた桜の立花は、御好意に甘えて写真をとり、昨年の’祇園祭りの頃からとり始めた私と素子のいけばな写真集(婦人画報社刊)に収めるつもりである。H写真提供京都新聞社H〈〉桜の芸術の王は華道桑原専慶流桜4

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