テキスト1991
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火火の色を最も美しく感じるのは冬の夜だろう。無言で焚火に手をかざす人達は後の聞から火色に染まって浮かび上がる。鉄瓶の下の炭火の色がしゅんしゅんと静かな湯音を誘い出す。き出してくる空調機よりもすっと好感のもてる暖かみである。火や焚火を冬にはあって当然のものガスストーブの火でさえ、色もない温風が機械のつなり声と一緒に吹火の色が恋しいのは私が火鉢の炭として育ってきたからだろう。第三種郵便物認可桑原専慶流いけばなテキスト知号先代は真夏以外はいつも火鉢を横に置いていた。私よりもすっと火色の恋しい世代だったのだ。冬の目、外が寒ければ寒いほど、一輪の花の赤きは、冷えきった身体の奥底にそっとさしいれられた火種の温かみのように感じられる。風の声を聞く頃になると暖を求め1991年1月1日発行(毎月1回1日発行)桑原専慶流家元発行ト小い。て派手に明るい花もいけたくなる。作例は落葉して休眠期に入ったキウイの蔓を細長い花瓶に挿しておき、そこに主役のガーベラ三輪をいれる。行をとっている。小品花でもあり、暖色の朱色を強めるためにも三輪はかためていけるとモンステラは葉の大きき日付ノぐらいの小葉をガーベラの後に立ててその足もとをひきしめ、更におでほどの葉を後に反らせるよ、つにそえて奥花材ガーベラキウイの蔓モンステラ花器黒色粕花瓶定価五OO円

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